マレーシア子育て/小児集中治療修行記

マレーシア生活・子育て・小児心臓集中治療・麻酔修行記

W*蘇生、蘇生、蘇生

昨日は再開胸止血、閉胸祭りでした。(何か間違っている気がしますが・・・笑)

本日は打って変わって蘇生祭り

一日で院内心停止を三件蘇生というのは日本の一病院の患者数ではなかなかないことと思います。(もちろん救急外来ではよくあることですけど)

 

マレーシアの食生活(甘いもの好き、炭水化物メインの食事、辛い物好き)リウマチ熱がまだ一般的にある国である(リウマチ熱は弁膜症の原因となります。日本ではもうあまり見ることが無いです)こと、健康に対しての考え方が発展途上であることが災いして若者の心肺蘇生をすることが多い気がします

「30代男性、心筋梗塞」

「10代男性、感染性心内膜炎、DNR(心肺蘇生なし同意あり)」

「20代女性、リウマチ熱罹患後で僧帽弁置換術後、三人目の出産のため来院。」

こういうエピソードって今までの医者人生であまり遭遇したことないんですけど、こっちだと結構当たり前に存在します

 

だんだん慣れてきたんですけど、このIJNの蘇生慣れした感じは流石ハイボリュームセンターという感じがします。

たぶん蘇生に関してドクターいらないと思いますね。

いつも眺めているだけのことが多いので。

心臓マッサージ、ショックや薬剤指示のようなルーチンワークは看護師が全てやってくれます。

気管挿管は下の先生がしてくれますし、ルートも取ってくれるし、僕の出る幕はありません。

人工呼吸器(気管挿管用も陽圧マスク用も)が腐るほどあるので、気管挿管した後もすぐさま人工呼吸器が出現します。

人工呼吸器の最初の設定はしますけど、あとは調節のルールさえ伝えておけば自動的に管理してくれます

 

しかしここの良くないところもあります。

それは良くも悪くも心臓オタクしかいないということです・・・

感染は肺炎、尿路感染と感染性心内膜炎は見てくれます(ほぼこれらの疾患なんですけどね)けど、腹部感染症や中枢神経感染症などは疑ってすらいません。(多分髄液検査とか出せないと思います)

また、コストを重要視するあまりCTスキャンの敷居は高く心臓以外の病気だと残念ながらわからないまま死んでいく病院だと思います。

もし他の病気が原因だとわかっても他院への搬送の敷居も高いです。

超音波検査も腹部用のプローベが無いこともあり、チェックしようともしませんね。(これは物が無いから・・・無料なのにもったいない)

 

宗教や文化の問題もあります。なんか諦めも早いんですよね。(蘇生中にお祈りの曲を流すことがあります

確かにあきらめたほうが患者さんにやさしい場面は多々あります。(高齢で活動度が低い患者さんや末期がん患者さんにしつこく心肺蘇生をする事は個人的には反対です)

定期手術の患者さんが心肺停止になってもそれなりにやってあきらめます

これは日本ではあまり見ませんでしたね・・・

かと思えば、ロイヤルファミリーと言われる一族やサルタン(権力者)には適応がなくてもあらゆる治療を行うようです。

彼らが来るときは我々は関わることを禁じられダトーたちが群がって治療を行います

これは現地の医師から聞いたのですが、ダトーという称号をもらった時点で彼らと主従関係が結ばれるようです。

 

あと一週間で観光ビザの残りが一か月を切ります。

不安と闘いながら死とも奮闘することにします。(どうせ明日もコードブルー担当だし)

ちらっと見ましたが今日本でやっている医療ドラマみたいな毎日だったらいいんですけどねぇ・・・(医療的にひどいクオリティだったので速攻で見るのやめましたけど笑)

 

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